もう、散ってしまう命ならば、
長くは輝けない灯ならば...。
僕は、残された時間を全て君に捧げよう。
...折ったばかりの鶴に、"ふっ"と息を吹きかける。
ぱさりと音を立てて落ちた鶴は、まるで僕に、命の儚さを教えてくれているように感じた。
"折り鶴"
・・・
・・・・
・・・・・
「...あの娘の時代に生まれたかったな。」
無意識に口から零れた言葉は、
決して叶うことの無い、心からの僕の願い。
...!!
「ごほっ...ごほっ、っはぁっ、はぁっ...。」
...全く、本当にまいっちゃうな。最近じゃあすぐこれだもの。
"本当はもっと生きていたい。"
そんな気持が僕を駆り立てるけれど、...どうしようもないから。
こんな事を考えてしまうのなら、彼女と話している方が全然楽しい。
...例え、息が苦しくなって死んじゃってもね。
僕は、ふらつく身体を奮い立たせ、彼女の部屋へと向かう。
口の中に広がる血の味。
口直しに、あの娘に淹れてもらった茶と、菓子を頂こうかな...。
そっと、戸を叩いて部屋に入る。
「あっ、沖田さんっ!」
部屋に入るや否や、娘さんは正座していた膝を起こし、
こちらに向かってくる。その拍子に、彼女の足が縺れた...。
「「わっ!!」」
...重なった声を同時に、僕は彼女に押し倒され、
娘さんに組み敷かれている状態になっていた。
...そっと目を開くと、娘さんは頬を紅くさせ、
ただでさえ大きなその瞳を瞬きさせている。
思わず、その愛らしい頬に指先で触れる。
「...可愛い。」
僕のその言葉に娘さんは更に顔を紅潮させ、隠すように顔を手で覆う。
「まったく...、もし歳三さんに見られていたら、僕達斬られていたかもよ?」
"すみません..."と謝る娘さん。
謝っている割には、なかなか降りてくれないな...。
「...ごめん、そろそろ降りれる?」
その言葉に、はっとしたように僕から離れた彼女は、
"ごめんなさい"と一礼して照れを隠すかのように茶を淹れに逃げて行った。
「ふふっ...。」
思わず声に出して笑ってしまう。
「本当に、あの娘は...。」
...でも言葉が出てくるこの口からは、ぽたりと一滴、血の筋が垂れる。
...やはり、現実からは目を背けられないか。
僕は一つ、大きな溜息をつくと彼女が戻って来るのを暫く待っていた。
・・・
「失礼します...。」
彼女の、小さな声がする。
「どうぞ。」
...すると、まだ顔の紅い娘さんがおずおずと遠慮がちに部屋へ入ってきた。
なかなか、目を合わせてくれないみたい...。
「どうしたの、まだ顔紅いよ...?」
態と顔を近付けて、意地悪く問う。
もっと、可愛い彼女が見たくて。
「っ、沖田さん...。」
ぎゅうっと強く瞳を閉じるその姿は、まるで口吸いを求めているみたい。
そんな彼女が何時も以上に愛おしくなって、
思わず力を込めて抱き締める。
...でも、ごめんね。
僕に、それ以上は許されないから...。
「...ごめんね。」
この手で...色々なものの時間を止めてきたこの手で、
もっと強く君を抱き締められたら...。
もっと君のことを知ることができたら...。
こんな命、いくらでもくれてやるのにね。
「沖田さ...」
彼女が僕の名を呼びかけた、その時。
「っごほっ、ごほっ...ごほっ!」
...また、僕の発作が始まってしまった。
「ごほっ、ごほっ...っ、ごほっ...。」
止まらない咳。見られたくない一心で、僕は咄嗟に彼女を突き放してしまった。
「沖田さんっ!!」
...今にも泣いてしまいそうな彼女の声。
その声と血雑じりの咳込む音が、空虚な部屋に雑じる。
「ごほっ、ごほっ...かはっ..!」
...あーあ。
しまった、ついに見られちゃった。
こんなに血で染まってしまったら、彼女の着物を汚してしまう。
「沖田さんっ、沖田さんっ!!」
...薄れゆく意識の中、娘さんの泣きそうな声だけが耳に残る。
娘さん...、本当にごめん。
「珍妙娘...?おいっ、総司!!」
その瞬間、彼女の嗚咽を聞きつけた歳三さんが勢いよく戸を開いた。
「総司っ、総司っ!!おい---...」
...歳三さんが僕の名を呼んで、彼女に何か言っている...。
なんだ...、鬼の副長さんもそんな顔するじゃないですか...。
でも、あまり見たくないな。歳三さんのそういう顔。
ふと彼女に目をやると、急いで部屋から出ていく。
...もう少し、傍に居て欲しかったな...。
「っ、総司っ、しっかりしろ!!」
痛みを堪えて、歳三さんに言い返す。
「...っ、や、だな歳三さん。
その顔っ、鬼の副長さんの顔じゃあないですよ...っ。」
「総司...。」
「早くっ、娘さん...っ。戻って来ないかな、...っ。」
「...総司お前、泣いてんのか...?」
「...。歳三さん僕が、泣くと、思いますかっ...?」
「総司っ!」
崩れる僕の身体を、支える歳三さん。
...その時僕は気が付いた。己の頬を伝う、涙の存在に。
「っ、僕は...まだ死にたくないっ...。その理由が...、
今になって分かったんだ...!歳三さんっ...。」
痛みは、段々と増していく。
...でも、だからこそ僕が話せる内に、歳三さんに伝えておきたいから...。
「沖田さんっ!!」
僕が言い終えるのと同時に、娘さんが戻って来た。
...戻ってきてくれた、僕の、元に。
「おいっ、早く薬を飲ませろっ!」
歳三さんの言葉に力強く頷いた娘さん。
...でも、僕の身体は言う事を聞いてくれない。
身体を起こすことが、出来ない。
「沖田さん...っ。」
何かを決心したような、とても強い表情で僕を見据え、
名を呼んだ娘さんは、自身の口の中に、水と薬を含んだ。
...そんなに苦い薬を、君は一体...?
まさか。と思った、僕の予想は当たってしまった。
「「んっ...。」」
口に含んだ薬を、僕に口移しで飲ませた。
「珍妙娘っ、お前...。」
「...駄目、だよ娘さん...。
こんな事をしたら、君にまで、感染ってしまう。」
「...ごめんなさい。」
そう言いながら次々と涙を流す彼女は、とても妖しくて、美しくて。
彼女の頬に、自然と手が伸びる。
僕の血の抜けた、冷えた手と娘さんの頬の温度があまりにも対照的で...。
「温かい...。」
...きっと娘さんの温もりを感じられるのは、
もう、僅か。もしかしたら、これが最期かもしれないから...。
「...もう少しだけ。」
彼女の温もりを、感じていたい。
「お前、総司を頼む...。」
異様な眠気で瞳を閉じた僕の耳には、歳三さんの低い声が響いた。
・・・
・・・・
・・・・・
瞼の上から、熱い日射しが差し込む。
そっと、目を開くと傾きかけた西日が此方を向いていた。
...指先から伝わる温かな感触。
繋がれた手の主は、誰でもない娘さん。
ずっと、繋いでいてくれたんだね。
...彼女の、柔らかで細い髪をそっと撫でる。
静かな寝息を立てていた彼女は、ゆっくりと瞼を開く。
身体を起こした彼女の瞳からは、
ぽつりと一粒、露のような涙が落ちた。
「何か、怖い夢でも見た?」
...僕の問いかけに、娘さんは少し目を伏せて、そっと頷く。
「はい...とても、怖い夢。」
「へぇ...。...どんな、夢?」
好奇心から来た僕の問いかけに、彼女は先程に増して、
ほろほろと涙を流して話し始めた。
「沖田さんが...いなくなっちゃう夢です。」
・・・!
僕が、いなくなる。
君の…の前から?
「朝、起きたらっ、隣に居たはずの
沖田さんがいなくて...。私っ...」
...そうか。
君は僕のこと、本当に想ってくれているんだね。
「ありがとう、娘さん。」
力の入らない腕で、ぎゅっと...彼女を抱き締める。
「...沖田さん?」
まだ、不安気に僕を見つめる瞳。
...その目尻には、拭いきれていない涙が溜まっている。
「...それが、夢なら良いと、僕は何度考えたことか。」
...なるべく努めて笑うけど、ちゃんと、君に伝わってる?
「そんなっ、沖田さ...」
「あーあ、君の時代に生まれたかったなぁ。」
娘さんの言葉を遮るように、想いをぶつける。
彼女にぶつけてしまっても、どうしようもないのに...。
既に染まりつつある夕暮れの空。
まだ、蒼さが残っている部分に手を伸ばす。
伸ばした手を、太陽は通り抜けて...
僕の手を、影のように黒く染める。
「君が、この空を飛び越えたように、僕もこの空を飛べたら良いのに...。」
思わず零れてしまった言葉。
...それに反応したのか、力の入っていないことを悟ったのか、
娘さんは僕を強く抱き締め返す。
「...私の羽は、沖田さんにあげます。」
...!!
「ッ…⁉」
「もう、私には必要ないから...。
沖田さんの傍に、来ることが出来たから...っ。」
「...!」
溢れる想いを伝えたくて、彼女に刻み込みたくて...。
…重ねてしまったその唇は、もう離すことが出来ない。
ふと隣を見ると、彼女が淹れた茶と茶菓子が並んでいる。
すっかり、冷めてしまった湯呑には、
一本、遠慮するように茶柱が立っていた。
もう少しだけ、このまま一緒に居られる?
僕が大好きな、この部屋に。
好きで好きで抑えることが出来ない、
君の傍に...。
長くは輝けない灯ならば...。
僕は、残された時間を全て君に捧げよう。
...折ったばかりの鶴に、"ふっ"と息を吹きかける。
ぱさりと音を立てて落ちた鶴は、まるで僕に、命の儚さを教えてくれているように感じた。
"折り鶴"
・・・
・・・・
・・・・・
「...あの娘の時代に生まれたかったな。」
無意識に口から零れた言葉は、
決して叶うことの無い、心からの僕の願い。
...!!
「ごほっ...ごほっ、っはぁっ、はぁっ...。」
...全く、本当にまいっちゃうな。最近じゃあすぐこれだもの。
"本当はもっと生きていたい。"
そんな気持が僕を駆り立てるけれど、...どうしようもないから。
こんな事を考えてしまうのなら、彼女と話している方が全然楽しい。
...例え、息が苦しくなって死んじゃってもね。
僕は、ふらつく身体を奮い立たせ、彼女の部屋へと向かう。
口の中に広がる血の味。
口直しに、あの娘に淹れてもらった茶と、菓子を頂こうかな...。
そっと、戸を叩いて部屋に入る。
「あっ、沖田さんっ!」
部屋に入るや否や、娘さんは正座していた膝を起こし、
こちらに向かってくる。その拍子に、彼女の足が縺れた...。
「「わっ!!」」
...重なった声を同時に、僕は彼女に押し倒され、
娘さんに組み敷かれている状態になっていた。
...そっと目を開くと、娘さんは頬を紅くさせ、
ただでさえ大きなその瞳を瞬きさせている。
思わず、その愛らしい頬に指先で触れる。
「...可愛い。」
僕のその言葉に娘さんは更に顔を紅潮させ、隠すように顔を手で覆う。
「まったく...、もし歳三さんに見られていたら、僕達斬られていたかもよ?」
"すみません..."と謝る娘さん。
謝っている割には、なかなか降りてくれないな...。
「...ごめん、そろそろ降りれる?」
その言葉に、はっとしたように僕から離れた彼女は、
"ごめんなさい"と一礼して照れを隠すかのように茶を淹れに逃げて行った。
「ふふっ...。」
思わず声に出して笑ってしまう。
「本当に、あの娘は...。」
...でも言葉が出てくるこの口からは、ぽたりと一滴、血の筋が垂れる。
...やはり、現実からは目を背けられないか。
僕は一つ、大きな溜息をつくと彼女が戻って来るのを暫く待っていた。
・・・
「失礼します...。」
彼女の、小さな声がする。
「どうぞ。」
...すると、まだ顔の紅い娘さんがおずおずと遠慮がちに部屋へ入ってきた。
なかなか、目を合わせてくれないみたい...。
「どうしたの、まだ顔紅いよ...?」
態と顔を近付けて、意地悪く問う。
もっと、可愛い彼女が見たくて。
「っ、沖田さん...。」
ぎゅうっと強く瞳を閉じるその姿は、まるで口吸いを求めているみたい。
そんな彼女が何時も以上に愛おしくなって、
思わず力を込めて抱き締める。
...でも、ごめんね。
僕に、それ以上は許されないから...。
「...ごめんね。」
この手で...色々なものの時間を止めてきたこの手で、
もっと強く君を抱き締められたら...。
もっと君のことを知ることができたら...。
こんな命、いくらでもくれてやるのにね。
「沖田さ...」
彼女が僕の名を呼びかけた、その時。
「っごほっ、ごほっ...ごほっ!」
...また、僕の発作が始まってしまった。
「ごほっ、ごほっ...っ、ごほっ...。」
止まらない咳。見られたくない一心で、僕は咄嗟に彼女を突き放してしまった。
「沖田さんっ!!」
...今にも泣いてしまいそうな彼女の声。
その声と血雑じりの咳込む音が、空虚な部屋に雑じる。
「ごほっ、ごほっ...かはっ..!」
...あーあ。
しまった、ついに見られちゃった。
こんなに血で染まってしまったら、彼女の着物を汚してしまう。
「沖田さんっ、沖田さんっ!!」
...薄れゆく意識の中、娘さんの泣きそうな声だけが耳に残る。
娘さん...、本当にごめん。
「珍妙娘...?おいっ、総司!!」
その瞬間、彼女の嗚咽を聞きつけた歳三さんが勢いよく戸を開いた。
「総司っ、総司っ!!おい---...」
...歳三さんが僕の名を呼んで、彼女に何か言っている...。
なんだ...、鬼の副長さんもそんな顔するじゃないですか...。
でも、あまり見たくないな。歳三さんのそういう顔。
ふと彼女に目をやると、急いで部屋から出ていく。
...もう少し、傍に居て欲しかったな...。
「っ、総司っ、しっかりしろ!!」
痛みを堪えて、歳三さんに言い返す。
「...っ、や、だな歳三さん。
その顔っ、鬼の副長さんの顔じゃあないですよ...っ。」
「総司...。」
「早くっ、娘さん...っ。戻って来ないかな、...っ。」
「...総司お前、泣いてんのか...?」
「...。歳三さん僕が、泣くと、思いますかっ...?」
「総司っ!」
崩れる僕の身体を、支える歳三さん。
...その時僕は気が付いた。己の頬を伝う、涙の存在に。
「っ、僕は...まだ死にたくないっ...。その理由が...、
今になって分かったんだ...!歳三さんっ...。」
痛みは、段々と増していく。
...でも、だからこそ僕が話せる内に、歳三さんに伝えておきたいから...。
「沖田さんっ!!」
僕が言い終えるのと同時に、娘さんが戻って来た。
...戻ってきてくれた、僕の、元に。
「おいっ、早く薬を飲ませろっ!」
歳三さんの言葉に力強く頷いた娘さん。
...でも、僕の身体は言う事を聞いてくれない。
身体を起こすことが、出来ない。
「沖田さん...っ。」
何かを決心したような、とても強い表情で僕を見据え、
名を呼んだ娘さんは、自身の口の中に、水と薬を含んだ。
...そんなに苦い薬を、君は一体...?
まさか。と思った、僕の予想は当たってしまった。
「「んっ...。」」
口に含んだ薬を、僕に口移しで飲ませた。
「珍妙娘っ、お前...。」
「...駄目、だよ娘さん...。
こんな事をしたら、君にまで、感染ってしまう。」
「...ごめんなさい。」
そう言いながら次々と涙を流す彼女は、とても妖しくて、美しくて。
彼女の頬に、自然と手が伸びる。
僕の血の抜けた、冷えた手と娘さんの頬の温度があまりにも対照的で...。
「温かい...。」
...きっと娘さんの温もりを感じられるのは、
もう、僅か。もしかしたら、これが最期かもしれないから...。
「...もう少しだけ。」
彼女の温もりを、感じていたい。
「お前、総司を頼む...。」
異様な眠気で瞳を閉じた僕の耳には、歳三さんの低い声が響いた。
・・・
・・・・
・・・・・
瞼の上から、熱い日射しが差し込む。
そっと、目を開くと傾きかけた西日が此方を向いていた。
...指先から伝わる温かな感触。
繋がれた手の主は、誰でもない娘さん。
ずっと、繋いでいてくれたんだね。
...彼女の、柔らかで細い髪をそっと撫でる。
静かな寝息を立てていた彼女は、ゆっくりと瞼を開く。
身体を起こした彼女の瞳からは、
ぽつりと一粒、露のような涙が落ちた。
「何か、怖い夢でも見た?」
...僕の問いかけに、娘さんは少し目を伏せて、そっと頷く。
「はい...とても、怖い夢。」
「へぇ...。...どんな、夢?」
好奇心から来た僕の問いかけに、彼女は先程に増して、
ほろほろと涙を流して話し始めた。
「沖田さんが...いなくなっちゃう夢です。」
・・・!
僕が、いなくなる。
君の…の前から?
「朝、起きたらっ、隣に居たはずの
沖田さんがいなくて...。私っ...」
...そうか。
君は僕のこと、本当に想ってくれているんだね。
「ありがとう、娘さん。」
力の入らない腕で、ぎゅっと...彼女を抱き締める。
「...沖田さん?」
まだ、不安気に僕を見つめる瞳。
...その目尻には、拭いきれていない涙が溜まっている。
「...それが、夢なら良いと、僕は何度考えたことか。」
...なるべく努めて笑うけど、ちゃんと、君に伝わってる?
「そんなっ、沖田さ...」
「あーあ、君の時代に生まれたかったなぁ。」
娘さんの言葉を遮るように、想いをぶつける。
彼女にぶつけてしまっても、どうしようもないのに...。
既に染まりつつある夕暮れの空。
まだ、蒼さが残っている部分に手を伸ばす。
伸ばした手を、太陽は通り抜けて...
僕の手を、影のように黒く染める。
「君が、この空を飛び越えたように、僕もこの空を飛べたら良いのに...。」
思わず零れてしまった言葉。
...それに反応したのか、力の入っていないことを悟ったのか、
娘さんは僕を強く抱き締め返す。
「...私の羽は、沖田さんにあげます。」
...!!
「ッ…⁉」
「もう、私には必要ないから...。
沖田さんの傍に、来ることが出来たから...っ。」
「...!」
溢れる想いを伝えたくて、彼女に刻み込みたくて...。
…重ねてしまったその唇は、もう離すことが出来ない。
ふと隣を見ると、彼女が淹れた茶と茶菓子が並んでいる。
すっかり、冷めてしまった湯呑には、
一本、遠慮するように茶柱が立っていた。
もう少しだけ、このまま一緒に居られる?
僕が大好きな、この部屋に。
好きで好きで抑えることが出来ない、
君の傍に...。
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